2019.5.7
TALK

水野良樹×崎山蒼志 Part 1
「あんまり聴いたことない」みたいに言われることが、とてもうれしい

独自の世界観が広がる歌詞、印象的な歌声、圧倒的なギタープレイで、
今注目を集める高校生シンガーソングライター崎山蒼志さん。
J-WAVE「SPARK」初回の放送で
楽曲をオンエアしたことがきっかけで、対談が実現。
番組では放送できなかった内容も含めて、
「SPARK HIROBA」完全版としてお届け。

Part 1 「あんまり聴いたことない」みたいに言われることが、とてもうれしい

水野「SPARK HIROBA」、記念すべき第1回目の対談相手に、この方が来てくださいました。自己紹介をお願いします。

崎山崎山蒼志です。よろしくお願いします。

水野よろしくお願いします。わざわざ遠いところからスタジオに来てくださいまして、ありがとうございます。前にこのSPARKの初回の放送で、崎山さんの曲をかけたら、崎山さんがそれにTwitterで反応してくださって。あれはどこで知ったんですか?

崎山自分でエゴサーチして。

水野あっ!エゴサーチするんだ。すごいね。

崎山いえいえ。

水野それで自分の曲がかかっているというのを見て。

崎山えー!と思って。

水野ありがとうございます。それを見た僕とスタッフが「これは呼びたい!」となって、来ていただいたわけですけども。どこから話を始めよう…今すごくいろんな人に「天才だ、天才だ」と言われてしまって戸惑っているかと思うんですけど。音楽活動を始めたのは、最初はどこだったんですか?

崎山ギターを始めたのは4歳のときで。

水野4歳!えー!

崎山母が、ビジュアル系バンドとかUKロックとかがすごく好きで、僕もその影響で記憶がないぐらいのときからビジュアル系のPVなんかが家で流れていて。

水野はい。

崎山すごいかっこいいなと思って、「やりたい!」って自分から言って。

水野へぇ。

崎山そこからギターを始めて、という感じです。

水野なんか今、崎山さんがつくっている曲からするとビジュアル系というイメージとはつながらないんですけど、サウンドとかは違うものにしようという意識はあったんですか?

崎山いや、そこから聴く音楽が変わっていって。

水野へぇ。いちばん最初はどんな音楽を聴いたんですか?

崎山いちばん最初はthe GazettE(ガゼット)ですね。

水野はいはいはい。

崎山なんか怖い音楽かもしれないけど、僕にとっては子守歌みたいな。

水野へぇ。なんか激しい音楽の方が寝られるみたいな?

崎山かもしれないですね。そこからどんどんビジュアル系ではなくなって、洋楽も聴くようになって。どんどん変わっていきました。

水野それを最初聴いて「かっこいいな」と思って、自分でもつくってみようと思ったきっかけは、どこにあったんですか?

崎山小学校4年生くらいのときから、自宅で無意識に適当なメロディを歌っていて、それをお母さんが褒めてくれて、うれしくて今も続けているというような。

水野ああ。聴いてもらって褒められるのがいちばんうれしいですか?いろんな人がいて、例えば曲をつくった瞬間の喜びが最高だという人もいれば、人前で演奏してその人たちが喜んでくれるのが最高だという人もいると思うんですけど、崎山さんはどっちが強いですか?

崎山褒められるのも本当にうれしいんですけど、でも自分的にいい曲ができたときがいちばんうれしいですね。

水野何か基準というのはありますか?自分のなかでもつくってみて、「ああ、これはよくないな」とか「これはいいな」とかあるじゃないですか。

崎山はい。

水野そういうのは、自分のなかではどこに(重きを)置いているの?「来る感じ」があったりするんですか?

崎山「来る感じ」ですね。あとはあまり聴いたことないような曲をつくれると「よっしゃ!」って思います。

水野崎山さんの声というのは…言い方が正しいか分からないけど、すごく特殊な声というか、すごく素晴らしい声だと思うんですね。

崎山いやいや。

水野やっぱり一度聴いて忘れないし、独特の揺らぎを持っているというか。「自分の声が人と違う」って気づいたときはある?

崎山そうですね、ずっと歌っていて、変声期もずっと歌ってきて。

水野はいはい。

崎山変声期はだいたい終わっているんですけど、今もたぶん、また変化しているとは思うんですね。別に自分の声が(他の人と)変わっているとは最初は思っていなかったんですけど。

水野うん。

崎山去年、「日村がゆく」という番組に出させていただいて、そこでいろんな人に知ってもらえて。そのときに「特徴的な声だね」と言われて、あらためて自分の曲を聴いて「あ、本当だ…」って。

注釈:「日村がゆく」 AbemaTVで配信されているバラエティ番組。崎山さんは、2018年5月に「第3回 高校生フォークソングGP」に出演し、一躍注目を浴びた。

水野ははは。そこで少し客観的になったんだね。

崎山はい。

水野それで曲づくりは変わりましたか?

崎山いや、どうなんだろう…特別そこは変わっていないですね。

水野あ、そうなんですね。自分の声に合わせてこんな曲をつくってみようっていうよりは、軸は変わらずに今もやっている感じなんですね。

崎山そうですね。

水野崎山さんは今、高校2年生なんですよね。

崎山はい。

水野僕も、ちょうど高校2年生のときに、いきものがかりを結成したんですよ。

崎山ああ。

水野当時、僕と山下が高校2年生で、吉岡が高校1年生で。そのときから、僕は曲をつくったら他の人が歌ってくれるという状況だったんです。

崎山はい。

水野だからたまたま僕は、そのときから「自分たちのグループってこんな感じかな」って客観的に見ることができたんですけど、崎山さんは今の自分の状況をどういうふうに見ているのかなと思って。自分でつくって自分で歌って、しかも反応がダイレクトに返ってくるじゃないですか。

崎山はい。

水野それがたぶん、ご自身も予想していないくらいすごかったでしょ。日村さんの番組に出たときとかも、すごかったはずだし。なかなか冷静に、客観的になるのは難しいと思うけれど、今、それでも軸が変わらずに、変に浮き足立っていないというか。自分自身を保てているのは、どこに要因があるのかなと思って。

崎山客観的に見ても、あまり考えていないというか。

水野ああ。

崎山なんか、ボーッとしているんで(笑)。

水野ははは(笑)。いやいや。

崎山だから、いろいろ思っても、あまり…。

水野深く考えすぎないようにしているのかな?

崎山そうかもしれないです。なんか…忘れちゃう…。

水野いいなぁ(笑)。「なんで歌をつくってるんですか?」って聞かれたら、どう答えますか?

崎山ええ…うーん、でもやっぱり自分で曲つくって、「いいな」って思って、それを聴いてもらいたいからかな。

水野ああ、聴いてもらいたいんだ。それは、メロディをいいって言ってもらいたかったりするのか、それとも歌詞も素晴らしいじゃないですか。言葉のことを言ってほしいのか、どこが褒められたら、いちばんうれしいですか?

崎山「あんまり聴いたことない」みたいに言われることが、とてもうれしいですね。

水野やっぱり新しいものをつくりたいんだね。そして(新しいものを)つくってるよね。

崎山いやいや。

水野すごいよね。うーん、新しいものか。なんでそこに興味がいくんだろうね。

崎山特に洋楽が多いんですけど、聴いたことのないものに惹かれてきたというか。そういうところがあるのかもしれないです。

水野ずっと、その感じで続くのかな。

崎山いや、変わっていくと思います。

水野そうだよね。今、高校2年生というと、17歳ですか?

崎山今度、17歳になります。

水野そうか、すげぇな!その年を考えると確かにすごいわ!17歳…。今いろんなアーティストの方が崎山さんに興味をもって、いろんな言葉をかけたりして、崎山さんもそこから刺激を受けて、また新しいものにつながっていくと思うんですけど、どんなふうになっていきたいですか?

崎山えー。

水野難しいよね。

崎山うーん。

水野どんなものをつくりたいですか?やっぱり新しいもの?

崎山新しいもの…なんですけど、でも聴いてもらって、なにかその人のためにもなるというか。

水野ああ!

崎山そういう曲が理想ですね。

水野同世代の人に届いているという感覚はありますか?僕は今36歳なのね。

崎山はい。

水野で、崎山さんの年齢だと僕にとっては20年前で、そのとき感じてたことって記憶としてはすごくあって。

崎山うんうん。

水野当時の僕の話をするとね。本当はすごく…なんていうんだろうな…人付き合い苦手で(笑)。僕は、どうしても人とうまく話せなくて、たまたまつくった曲が、学校内の放送で流れることになったんですよ。うちの高校は面白くて、文化祭のテーマソングを校内で募集するというシステムがあって。

崎山ええ!

水野面白いでしょ。

崎山はい。

水野全校投票でその年の文化祭のテーマソングを決めるという。

崎山すごい。

水野ね、面白いよね。今考えてもいい環境だったなと思って。給食の時間にいろんな曲が流れるんだけど、全然友達のいなかった僕の曲が流れて、そうしたらその日に校内の話題になったんだよね。「あの曲つくってるのは誰だ!?」みたいな。それが僕にはものすごくびっくりすることで、「あ、自分は音楽という武器があって、これをみんなの前に出すと、それこそ褒めてもらえるとか、注目してもらえるんだ。友達はつくりづらいけど、これだったら、自分の存在を認めてもらえるかも」みたいな、そういうところから始まっているんですね。

崎山はい。

水野そのときの気持ちってどうしても薄まってきたりとか、いろんなことを知っていくと、悪いことではないけど変わっていくんですね。崎山さんがこれからいろんなことを知っていって、たぶん今も崎山さんの音楽や崎山さん自身を肯定してくれる人はたくさんいると思うんだけど、これからどうなっていくのかなって思って。なんか…めっちゃ上から目線ですみません(笑)。

崎山いやいや。

水野今、不安とかありますか?

崎山不安ですか。うーん。ずっとひとりでやっていきたいなとは思ってなくて。

水野あ、そうなんですね。バンドやってますもんね。

崎山はい。今は曲をつくれているんですけど、音楽がつくれなくなったらどうしようっていうのは…ありますね。

水野ああ。そうだよね。褒められたい、新しいものを聴かせたいという動機が、どこまで続くんだろうとか。でも、その動機が年齢を経ていくことに従って変わっていくと思うんですけど、そうなったときにまた面白いものができるんだろうなって気がしますけどね。

(つづきます)

崎山蒼志(さきやま・そうし)
2002年生まれ。
シンガーソングライター。
2018年5月にAbemaTV「日村がゆく」に出演し、
またたく間にSNSで話題になる。
最新音源として2019年3月15日に
「泡みたく輝いて」ならびに「烈走」を配信リリースした。
今後は、「第8回パンダ音楽祭」「CROSSING CARNIVAL’19」など
多数のフェス、音楽イベントに出演予定。
崎山蒼志オフィシャルサイト
崎山蒼志Twitter

Photo/Kayoko Yamamoto
Text/Go Tatsuwa
Hair & Make/Yumiko Sano

同じカテゴリーの記事