2019.5.16
TALK

HIROBA Part 4
他者と接すると自分の輪郭がはっきりしてくる

HIROBAの立ち上げから約1カ月半が経過。
本人による楽曲制作の過程を振り返る原稿や、
さまざまなクリエイター、ミュージシャンとの対談、
制作スタッフのインタビューなどを通して、
少しずつその輪郭が見えてきたが、
このタイミングであらためて「HIROBAとは何なのか」ということを
分かりやすく説明する必要があるのではないだろうか。

HIROBAとしては初となる水野良樹のインタビューというかたちで、
理解を深める全5回の短期連載。
第4回は、対談を通して感じたことについて語る。

Part 4 他者と接すると自分の輪郭がはっきりしてくる

──HIROBAの対談のなかで新たな刺激を受けたり、相手の言葉から新たに気づくこともあるかと思います。
水野糸井さんの「弟の役をやりたいんじゃないか」っていう一言は、本当に辛辣だったなと(笑)。「確かにそうだなぁ」という感じですよね。今、対談相手の方々に甘えている状態ですからね。

参照:HIROBA TALK 水野良樹×糸井重里 Part 3 動機は、遊んでもらうことそのもの

最初の楽曲が小田さんとの作品だったので、まさに懐に入って向き合っていただいたというか。だから、糸井さんには本質を突かれてしまったなと。そこで課題意識が芽生えましたよね。それこそ、「下の世代に声をかけてみよう」とか。崎山蒼志さんはたまたまラジオ番組で対談ができてすごくよかったですし、中村佳穂さんとも別のメディアの企画で対談しました。これから、若い世代の方にも会っていく機会が増えると思うので、逃げちゃいけないなと思いましたね。

最初の立ち上げの時点では、どうしても関係性が強い方や気心の知れた方と話すことが多かったので、少しずつですが初めて会う方ともお話したいと思います。曲をつくるにも、もう少し挑戦的なことをした方がいいかなとか、そういったことを考えていますね。

──自身の創作の原点であったり、自分はどんな人間なのかといった問いがあると思うんですが、それに対するヒントのようなものが対談のなかにあるのではないかという気がします。
水野ふたつあって、ひとつは他者と接すると自分の輪郭がはっきりしてくるという、逆説的なことなんですが。高橋さんとの対談で、「どこから詞のヒントを得ますか?」という質問をしたときに、彼女と僕の視点は全然違っていて、同じような風景を見ても違う言葉が出てくるじゃないですか。書き方の出口のかたちも全然違っていて、僕は抽象化していくけど、彼女はもう少しリアルな写実的な表現をすると。

参照:HIROBA TALK 水野良樹×高橋久美子 Part 4 本当の気持ちを書くってことが大事だと思う。それに勝る詞はない

そういった違いが会話のなかで浮かび上がってくることで、「自分はそういうことに重きを置く人間なんだ」ということが分かってくる。そうすると自分の輪郭がはっきりしていくというのは、すごくあるんですよね。他者とは分かり合えないとは言いながらも、他者と話をしていくと、そこで自分に気づいていくという実感がすごくありましたね。

もうひとつは、自分という存在は複合的なもので他者を内包している。僕は両親から生まれて、いろんな人に出会って。山下と吉岡に出会っていなければ、人生がほぼ動いていないですから。山下と吉岡に出会ったことが僕の人間性にかなりの影響を与えているというか、彼らとの出会いによって僕という人間が形成されていると。吉岡との対談のなかでも言ったんですけど、僕の曲づくりは吉岡というシンガー込みで育ってきたものだから、僕の肉体に吉岡が半分入っているというか。

参照:HIROBA TALK 水野良樹×吉岡聖恵 Part 1 人生で初めて「これが…“あうん”か」って

「僕が変わると吉岡も変わるし、吉岡が変わると僕も変わるというような、グループってそういうものだよね」という話もあったんですけど、僕のなかにはいろんな他者が入っていて、いろんな影響を及ぼしているんだなということを感じましたね。それこそ、小田さんとは長い時間向き合って曲をつくらせていただいて、小田さんの考え方や手法が、僕が意識していなくても内省化されていって、そうすると僕は変わっていくというか。僕は他者によってできているんだなと。

このふたつは対談を通してすごく感じました。これから違う分野の人に会ったり、違う考えを持った人とものづくりをするともう少し自分を変えるというか、蓄積ができるのではないかという面白さはあると思いますね。

小田さんがすごいのは、「YOU」をつくり終えたときに、「これで終わった気がしないんだよな」とおっしゃっていることですよね。まさにその通りで、僕がここから変わっていくんだろうということを予想していて、同じ歌詞の言葉でも水野が全然違う意味を与えて歌うときが来るということを直感的に分かっておっしゃっているんだろうなと。HIROBAを続けていって、10年後に「YOU」と「I」の2曲を歌ったら、「小田さんはそういうことを言っていたのか!」となる気がするんですよ。その日が楽しみですよね。

(つづきます)

Photo/Manabu Numata
Text/Go Tatsuwa
Hair & Make/Yumiko Sano

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