2019.7.2
TALK

水野良樹×横山だいすけ Part 2
新しいものを少しずつ熟していく

Prologue from Yoshiki Mizuno

2017年にリリースされた「さよならだよ、ミスター」。
そして6月26日リリースの「愛したいひと」(「ハレルーヤ」と両A面シングル)。
これまでに2度、楽曲提供させていただいた横山だいすけさん。
ストレートな表現が押し付けがましくなることも、それでいて淡白になることもない、
横山だいすけさんだからこそ伝えることができる歌の世界観。
その背景には何があるのか。
新たなフィールドで活躍する今、どんなことを考えながら、チャレンジを続けているのか。
それが知りたくて、その明るい笑顔に会いに行きました。

Part 2 新しいものを少しずつ熟していく

横山逆に同じ質問を僕がするとしたら、水野さんは自分の特長をどう捉えているんですか?
水野うーん。同じような答えになってしまうんですが、長所であり短所でもあるんですが…「交通整理みたいな曲だな」みたいな(笑)。
横山「交通整理みたいな曲」ですか?
水野例えば、車が来て「ハイ、こっちです」みたいな。分かりやすく「今からサビいきますよ」「ここから少し悲しくなって、一瞬引いて、そこから盛り上がりますよ」みたいな、メロディのなかで説明がついている曲というか。みなさんの感情を誘導するというか。
横山はいはい。
水野それがある種、聴いているみなさんにとっては安心材料になって、次の展開が予想できるんですね。ただ、安心して楽しめるというのは一方で「ベタだよね」ということになりがちなんですが。そこが僕の長所であり短所ですね。「水戸黄門」って展開が分かるじゃないですか。印籠が出てくる時間がだいたい決まっていて、最後の成敗の仕方もみんな知っている。だけどそれが楽しい。そういうものに憧れたりはしますね。スタンダードになるものというか。
横山今のは、お客さんや聴き手の方に対してのことだと思うんですけど、歌い手にとってもしっくりくる部分があって。持っているものを自然と引き出してくれるような温かさを水野さんの楽曲からは感じるんですよね。自分が意識していないことまでも、気がついたら音楽に乗っけてもらっているような印象がありますね。
水野ああ、それはうれしいですね。そうでありたいと思います。歌い手さんの気持ちが乗れた方がいいですから。
横山はい。
水野誰が書いたかということを意識しないで、ご自身の言葉だと思って、歌ってもらえるのがいちばんいいんですよね。そこに近づければとは思いますね。でも、当たり前ですが、僕は横山だいすけにはなれないじゃないですか。
横山そうですよね。
水野理解しようとすることはできても100%理解することはできなくて。でも、100%理解する必要もないというか。他人の僕が提示するほうが、ご自身で書くよりも、より広くなる瞬間もあると僕は思っていて。それこそ、いきものがかりではそういうグループなので。
横山はいはい。
水野そこはお互いが寄り添い合うというか。歌い手や作り手、サウンドをつくるプロデューサーがいて、アイデアを出しあっていくことで、より広い人に伝わっていくという構図なのかもしれないですね。例えば、「世界迷作劇場」では童謡やスタンダードを歌いますよね。いままで歴史上、何千人何万人ものシンガーが歌ってきたであろう歌を歌う。でもそれらの名作を歌っても横山さんの歌は“横山だいすけの歌”になっていることのすごさがありますよね。
横山いやいやいや、そんな。ありがとうございます。
水野それは、すごいことですよ。それは何なんでしょうね。
横山何なんですかね。
水野「おかあさんといっしょ」の頃の歌とも違うと思うんですよ。
横山そうですね
水野広い視野を持とうとされている今の歌は違うし、5年、10年経ったらまた全然違うじゃないですか。
横山そうですね。本当に自分でもどうなるのかなと思いますね。
水野楽しみじゃないですか?
横山楽しみですね。本当に変わってきているなという実感はあるので、これまでやってきた童謡というのも、今の自分に合う歌い方になっていくでしょうし、「おかあさんといっしょ」を飛び出して今3年目になりますけど、5年後、10年後にどういう姿で、どういう歌を歌っているのかというのは、今考えてもワクワクしますね。
水野そうですよね。この数年で歌うテーマも増えていくでしょうし。
横山はい。

水野今、アルバムを制作していて、いろんなテーマの歌を歌っていると思います。恋愛の曲もあるだろうし、友情や別れでもいろんなパターンのものがあって、道はいくつもあると考えたら、すごく面白いし、そこでまた僕も作り手として会いたいなという思いがありますね。
横山そうですね。
水野「10年前はできなかったけど、今ならできますね」みたいなこともあるかもしれないし。
横山それは面白いですね。人生のなかで、たった2年かもしれないですけど、そのなかでも大きく考えも変わってきているし、2年前はできなかったことが今はできるというか、そういうこともたくさんあって。発見があることはワクワクしますよね。
水野ああ、それは素晴らしいことですね。
横山自分自身が楽しみながら、いろんなことをやっていきたいなというのがありますね。
水野なんか…定期的に会いたいですね(笑)。
横山会いたいですね(笑)。
水野定点観測をして「今、何やっているんですか」みたいな話をしてね。
横山前に食事したときも、そんな感じでしたもんね。
水野あれからも僕も変わっているし。
横山そうですよね!あのときは、まだ放牧中でしたもんね。
水野そうです。集牧していろいろ感じることもありますから。
横山常に新たなことにチャレンジされて。
水野いろいろやり過ぎて、何やっているのか分からなくなってますね(笑)。
横山ハハハ(笑)。分からなくなる瞬間ってありますよね。
水野自分がどこに立っているのか分からなくなるときもあるんですけど、今はそういうタイミングなのかなと思ってやっていますね。いろんな活動をするなかで、出会いも広がったんじゃないですか?
横山そうですね。新しい出会いも、もちろんあるんですけど、新しいものを少しずつ熟していく2年間だったんじゃないかなと。
水野新しいものを熟していくってすごくいい表現ですね。
横山1年目は新しいものだらけ、2年目も新しいものがあったんですけど、1年目に感じたものを少しずつ自分のものとして落とし込んでいくという作業ができてきて。
水野いやぁ、ほんとに真面目ですね。
横山いやいや。
水野今までひとつのことをやり続けてきた人が、新しいことに挑戦するというのは、みんなに分かりやすいストーリーじゃないですか。
横山はい。
水野それで頑張っているように見えるし、自分でも満足してしまえば満足できてしてしまうと。でもそこで満足せず、さらに経験を積んでいきたいという、すごく真摯な姿勢ですよね。それで広がった新しい道をさらに歩んで、それがまた軸となる。枝が幹になるというか。その姿勢は見習いたいですね。
横山いやいや、見習いたいだなんて…勘弁してくださいよ(笑)。
水野僕なんか「いろんなことに手出しすぎ」って言われますから(笑)。
横山ハハハ(笑)。僕も言われますよ。「どこに向かってるんだ?」って。
水野すべて楽しいですけど「これはより深く知りたい、勉強したい」と思うことが僕にもあって。
横山はい。
水野それを大事にしていきたいという気持ちもあるし。今はいろんなことをやられているけど、10年後には「これだ!」って思うものがあって、横山だいすけというアーティストを表現するときに、その言葉が増えているかもしれないですよね。

横山増えていたらいいですよね。水野さんがおっしゃるように、選択肢がたくさんあるからこそ、何を選んでいくのかなという、日々チョイスの連続なんですけど。「これ、楽しいかも」と思えるものを集めて、それがどんどん自分の引き出しに詰め込まれていく。そういうものが増えていったら眠っていた引き出しに入っていたものが、何かの瞬間に「これとこれを合わせたら面白いかも」という発見になったりして。
水野そうですよね。
横山そうなったらいいなと思いますね。
水野最終的に結びつくんですかね。
横山どうでしょうね。結びつくことも、きっとありますよね。
水野僕は小田和正さんと一緒に曲をつくらせてもらって、最後に小田さんと対談したときに、「今やっている新しいことと、いきものがかりでやっていることは全然違うな。でもいつか、それがつながるよ」と言われたんですよ。
横山えー!
水野小田さんもいろんな経験をされてきて、そうおっしゃったんだと思うんですけど、すごく励みになったんですよね。今違うことに見えているものが最後につながって、すごい化学反応が起こるかもしれないですよね。
横山それはすごく面白いですよね。でも、小田さんがおっしゃるんだから間違いないですよね。
水野ハハハ(笑)。そうですよね、信じられますよね。希望になるというか。
横山そうですよね。
水野いやぁ、今日はありがとうございました。アルバムも楽しみにしています。
横山こちらこそ、ありがとうございました!
水野またご一緒したいですね。
横山よろしくお願いします!

(おわり)

横山だいすけ(よこやま・だいすけ)
歌手・俳優。
「おかあさんといっしょ」で、番組史上歴代最長となる
9年間にわたって歌のお兄さんを務める。
2017年4月の卒業後は、 歌手活動のほか、
ドラマ、バラエティ、舞台、声優など幅広く活躍。
2019年7月24日に初のメジャーオリジナルアルバム「歌袋」をリリースする。
横山だいすけオフィシャルHP

Photo/Kayoko Yamamoto
Text/Go Tatsuwa
Hair & Make/Yumiko Sano,
Chinami Ando
Styling/Chisato Yoshioka

次回:AFTER TALK
with DAISUKE YOKOYAMA
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