2019.8.21
ESSAY

関取花 連載第7回 友人の結婚

友人が結婚した。
私と彼女は中学校のバスケ部で一緒で、当時から真面目でマメでまっすぐ、少し不器用なところも含めてみんなに愛される人だった。中学・高校の6年間で私も何度彼女に救われたことだろう。

友人の結婚

友人が結婚した。
私と彼女は中学校のバスケ部で一緒で、当時から真面目でマメでまっすぐ、少し不器用なところも含めてみんなに愛される人だった。中学・高校の6年間で私も何度彼女に救われたことだろう。

大学からは違うキャンパスになったので会うことも少なくなり、卒業後は一度か二度会ったくらいだと思う。でもだからと言って縁が切れると思ったことはなかった。
会おうと思えばいつでも会えるだろうし、いつ会っても変わらないでいてくれる安心感があった。

そんな彼女が先月行ったツアーの名古屋公演を見に来てくれた。「チケット取ったよー!楽しみにしてるねー!」と連絡をくれて、終演後に楽屋で久々に再会した。話していると会うのは実に約5年ぶりだった。もちろん綺麗になっていたけれど、纏う雰囲気やら喋り方やら身ぶり手ぶりやらは予想通りまるであの時のままだった。

彼女は旦那さんも連れて来てくれていた。一目見てなんてお似合いな二人なんだろうと思った。大らかそうで、彼女が度々旦那さんにツッコミしている感じとかももう最高、百点満点ですと思った。私が一番好きな彼女の顔がそこにはあった。

7月末には結婚式があって、私は行けなかったのだが友人たちで作ったムービーにはちゃっかり出演させてもらった。結婚式の数日後、彼女を含む中高の同級生たちと集まってご飯を食べた際に完成版を見させてもらったのだが、なんだかいろんな思いが溢れてきてつい涙が出てしまった。

結婚式の写真も大量に送ってもらって、そのうちの一枚を今はスマホの待ち受け画面にしている。良い写真はたくさんあったのだが、新郎新婦を撮っているのになぜか自分だと勘違いした友人がドカンと写りこんでいる写真があまりにも面白かったのでそれにしている。

彼女の写真を眺めながら、私はいわゆる結婚式定番ソングと言われる曲をあらためていくつか聴き返してみた。正直今までは耳にすることはあってもなんとなくまだ縁遠い存在に思えていたのだが、気が付けば歌詞の端々に彼女との思い出を重ね合わせている自分がいた。心の中でウンウン頷きながら、私もいつかそんな曲が書きたいと思った。

早速少し取り掛かってみたのだが、今はまだ個人的な思いが強過ぎてうまくまとめられそうになかった。何年か経って、ほかの友人たちも結婚してもっと全体像として見られる時が来たら書けるのかもしれない。

SNSなんかを見ているとどうやら28歳は俗に言う“ラッシュ”のようで、同い年の子たちはどんどん結婚していっている。
しかし類は友を呼ぶのかなんなのか、自分が仲の良い友人たちは彼女以外なぜかまだほとんど独身である。ありがたいことに「結婚とかしたらマジで花にネタ提供するから任せて!」といつも言ってくれるのだが、今のところその気配はない。

ちなみに今週末もそんな友人たちで集まって早い時間から酒を飲む会がある。もう集まる前からどんな日になるのか大体想像できる。たぶん例の結婚ムービーを見ながらひとしきり感動した後、「うちらはいつ結婚できるのか」という話になるのだ。

そしていつものように「なんだかんだ言って○○は大丈夫、幸せになれるから!」とかなんとか適当なことを言い合いながら、最後に誰かが酒をこぼしてワーワー騒いで終わるのだ。
私が結婚式定番ソングを書ける日は、まだ少し先になりそうな気がする。

関取花(せきとり・はな)
愛嬌たっぷりの人柄と伸びやかな声、そして心に響く楽曲を武器に歌い続けているミュージシャン。
昨年はNHK「みんなのうた」への楽曲書き下ろしやフジロック等多くの夏フェス出演を経て初のホールワンマンライブを成功させた。
2019年5月8日にユニバーサルシグマよりメジャーデビュー。
ちなみに歌っている時以外は、寝るか食べるか飲んでるか、らしい。
関取花オフィシャルサイト

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