2019.8.31
TALK

水野良樹×藍井エイル Part 3
ありのままで感じたものを歌詞や曲にしていきたい

Prologue from Yoshiki Mizuno

アルバム「FRAGMENT」で「今」という楽曲を
提供させていただいた藍井エイルさん。
同じ時期に“自分を見つめる時間”を持ち、
同じようなことを考え、
同じような景色も見たであろうことは
偶然ではないような気がしています。
楽曲制作の打ち合わせで語ってくれた夢や迷い…
その続きが聞きたくて、藍井さんに会いに行きました。

Part 3 ありのままで感じたものを歌詞や曲にしていきたい

水野そうか、考えたら、藍井さんは…今、そうですもんね。数年間頑張ってきて、藍井エイル像をつくってきた。そして、お休みを経て、ファンの皆さんの前に立ったときに、よりハッピーな空間が開けているわけですもんね。だから、突っ走って極端に進んでいたときとは違って、ある種のバランスを手にしたときに、より多くの人をハッピーにしたり、自分自身も楽になったり、全部、プラスに動いていますもんね。すごいなぁ。
藍井そうですね。特に復帰してからは、お客さんの気持ちと私の気持ちはリンクするんだなということを、あらためて感じました。私が張り詰めるとお客さんも張り詰めてしまう。でも、私がリラックスしていると、お客さんもリラックスして…。
水野連動するんですね。
藍井はい。そのリンクがすごいなと思っていて。自分では隠していたものも、結局、全部透け透けで。私がオープンな状態だと、お客さんも笑顔でゆとりを持っていろんなことを聞いてくれるんです。だから、ゆとりが平和を生むんだって(笑)。
水野感情によって、ステージングも変わるだろうし、もちろん、MCでしゃべる言葉も変わるから、空気が変わるのはわかるけど…リンクしていく、それはおもしろいですね。でも、確かに人と人との関係性って、自分の感情が実はほかの人との感情ともつながっているというか、こっちが笑うと向こうも笑うし、こっちが泣いていると向こうは泣いていなくても、何か知らないけど悲しくなるような。
藍井そうですね。いい感じの空気のなかに、1人だけすごく不機嫌な人がいると、みんなに不機嫌な感じが連鎖していくじゃないですか。その逆で、誰かがハッピーでいると、だんだんハッピーが広がっていくような感じなのかなと思いました。
水野それはステージや作品をつくる身からすると、大事なポイントですね。よく言うじゃないですか。「私が楽しんでいないと、みんなも楽しめないでしょ」って。決めフレーズみたいに言うけど、あれはけっこう、ほんとですよね(笑)。
藍井絶対そうですよね!
水野本質なんでしょうね。
藍井学生のときに作文を発表することがあるじゃないですか。ガチガチに緊張している人が作文を読むと、作文の内容が全く入ってこないで、その緊張している人が気になっちゃうじゃないですか。そういう感じですよね。
水野なるほど、なるほど!わかりやすい。
藍井ライブでこちらがガチガチになっていると、お客さんも構えちゃいますもんね。
水野それがエンタメなんだな。笑顔って大事(笑)。
藍井大事ですよね。
水野その楽しい空気をどうつくるかは、大事なポイントですよね。
藍井そうですね。藍井エイルチームはみんな仲がよくて。
水野いいことじゃないですか。
藍井会話の頻度も高いんですよ。チーム内で嫌な空気を持つ人がいないからこそ、みんなが笑顔でハッピーで、私も藍井エイルというものをもっとよくしていこうって安心して思えるんです。まさに笑顔の連鎖ですね。そうして今度はお客さんにもその笑顔を広げていくことができるので。
水野いいチームを持てているのは素晴らしいですね。お休みから戻ってきて、チームの雰囲気は変わったんですか?それとも、もともとチームの雰囲気自体はいいものだったんですか?
藍井変わった部分もありますね。私自身もすごく変わりました。休み方がわかるようになって、自分に余裕ができた部分もあるので。ある意味、人間活動が足りなかったのかなとは思いました。休まず、ずっとやりつづけてないと不安でしょうがない部分もありましたし。
水野偉いな。真面目ですね。
藍井ちょっと真面目すぎましたね(笑)。でも、真面目って言われても、全然、ピンと来なかったんですよね、今までずっと。
水野わかります。本人は、自分はまだまだと思っちゃうんですよね。
藍井そうなんですよ。
水野チームの雰囲気は本当に大事ですよね。いきものがかりも、すごくいいチームに恵まれていますけど、ステージの空気は、ステージに上がっている人だけの空気じゃないですもんね。
藍井そうですね。
水野舞台袖の舞台監督の一声であったりとか、楽屋でケアしてくれるマネージャーさんの醸し出してくれる空気感だったり、全部ですよね。
藍井全部ですね。
水野それが結果、ステージにつながる。
藍井本当に大事ですね。

水野いやぁ、おもしろいですね。この先、藍井さんの表現は、どう変わっていくんでしょうね。今回のアルバムは、今までにない藍井さんの素の部分や日常の部分が出ていて。そのアルバムを受けたライブツアーがあって、さらにこの先、いろいろなことを経験されて。次の作品で挑戦したいことやビジョンはありますか?
藍井あらためて考えると、日常から離れないもののほうが自然体でいられるので、ファンタジーの世界に生きるというよりは、ありのままで感じたものを歌詞や曲にしていく、そういうことができたらいいなと思っています。
私の歌自体が変わってきているので、これまで歌ってきた曲に似ているものだとしても、今の声だと違う表現になるはずです。新たに挑戦していくこと、そして、過去にあったようなことをもう一度やっていくことも、全部が新しい挑戦になると思っています。
水野時代ごとに生まれ変わっているんですね。いい感じで更新されていくというか。だから、昔の曲を歌っても当時とは全然違うものになるし、昔の曲のエッセンスが入った新しい曲を歌っても新鮮に感じる。
藍井そうですね。この7~8年の間にいろんな気持ちの移り変わりがあって、少しずつ大人になって、その上で表現が変わってきている感覚がありますね。
水野藍井さん、10年後どうなるんでしょうね(笑)。
藍井どうなるんでしょう(笑)。
水野楽しみじゃないですか?
藍井楽しみですけど…10年後、全く想像つかないですね。
私を見つけてくれた人の言葉のなかで、今も大事に思っている言葉があって、「デビューしてからできるようになっていくのではなく、デビューして、これをやってくださいと求められたら、もうできてなきゃいけないから。それを考えた上で練習したりしなきゃいけないよ」と。それはすごく大事なことだなと思っています。「ちょっとやってみてください」と言われて、全くできないまま、ただ時が過ぎていってしまったら、本当はあった話もなくなっちゃうじゃないですか。だから、「できてなきゃいけない」っていうプレッシャーは、いいプレッシャーになっています。
水野藍井さんは真面目だから、その言葉を聞いてちゃんと準備してくるだろうと、その方も思ったんじゃないですか。努力すると信じていなければ課さないですよ、きっと。藍井さんがそういう姿勢で臨んでいたから、実現して、今があるんだろうなと。すごくいい言葉ですね。
藍井レコーディングが近いのに難しい曲で歌えなくて…それが悔しくて。6時間くらい歌った結果、声がガラガラになってしまったこともあって(笑)。
水野ははは(笑)。
藍井ほどほどがいいんだなって。
水野そうですね。戻っちゃダメですよ(笑)。
藍井はい(笑)。
水野いいタイミングで出会って、ご一緒できて、うれしかったです。
藍井こちらこそ、ありがとうございます!

(おわり)

藍井エイル(あおい・えいる)
北海道札幌市出身。歌手。
2011年10月にシングル「MEMORIA」でメジャーデビュー。
2019年4月に4枚目のオリジナルアルバム「FRAGMENT」、
8/28には最新シングル「月を追う真夜中」をリリース。
11月には、7都市8公演のライブツアー
「藍井エイル LIVE HOUSE TOUR 2019」が控えている。

Photo/Kayoko Yamamoto
Text/Go Tatsuwa
Hair & Make/Yumiko Sano,
Hideaki Mayumi

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