2020.1.16
TALK

『打って、合わせて、どこまでも』 〜阿部さんと水野くんの永遠会議〜 第5回
シンプルだけど強いもの

コピーライターの阿部広太郎さんと一緒に企画を考えるこの連載。
阿部さんからいただいた「いっしょにを、広げよう」というコピーをもとに、
実際にどんな企画にしようかと考えるものの…。
果たして企画はまとまるのだろうか。

打って、合わせて。
言葉をラリーする、とりとめもない時間。
とりとめもないから、整理しきれていないことだらけ。矛盾を抱えていることだらけ。いつ始まり、いつ終わるかも判然としない。だけど、何かがみつかる瞬間であったり、何かにたどりつく瞬間であったりを、ドキュメンタリーとして、お伝えすることはできるかもしれません。

HIROBAのリアルタイムドキュメンタリー。ぜひお読みください。

第5回 シンプルだけど強いもの

場所:それはきっと六本木の会議室

水野これまでの流れを根底に置いて、僕たちが次の作業で単純化していく。阿部さんが出してくれた「いっしょにを、広げよう」というコピーみたいに。まさにコピーをつくるかのように、単純化していって、世間に伝えていくということが必要で。そこでそぎ落としていく部分もあるだろうし、だけど背景としてはビジョンを持っていることはすごく大事で。

阿部そうなんです、どこを目指しているかの共有はしたいですよね。

水野それを仲間が増えていく度に共有して、育てていく。例えはデカすぎるけど、AppleやAmazonも、何人か天才がいたんだろうけど、結局はそういうビジョンを会社内でずっと伝えつづけて、膨大なコンセプトを考え出す過程を経て、「Think Simple」みたいなワードにたどり着けたわけだから。その背景があると、実際に出てくるプロダクトが非常に受け取りやすいものになっていく。シンプルだけど強いものに。

阿部「あ、これだよね」って誰もが理解できるものですよね。

水野そうです。例えば機能をAという方向にしようか、Bという方向にしようかと選択をするときに、社員が背景を理解していてそこを踏まえて選択していくと、プロダクトがその背景の考え方に沿ったものになっていく。

阿部そうですね、理念を具現化して、判断の基準にできるようにする。

水野具現化したもの。こうやって話し合っていくと、「いっしょにを、広げよう」というコンセプトの軸になるものが明確になってきて、人と会うときの会い方も変わってくる。「こういうものを一緒につくりましょう」と、どんどん具現化されていく。

龍輪(編集) それこそ、ポップスをつくるのと同じということなんですかね。

水野そうですね。

阿部人それぞれ伝えたいことの哲学があるし、語りたいこともたくさんありますよね。どこまで多くの人と、その思いを共有していくか。AとBという意見でぶつかり合って、殴り合って、ケンカし合って…それが本当に幸せなことなのかなって思うんです。「もしかしたら、実はその間にあるCというものがあって」と共有していくことは、いまの時代に必要なことだと思います。何とかそれを伝えていくことを、創作にはできる気がするんですよね。

水野そうですね。まさに文化や創作の役割ですよね。

阿部「急いで行きたいなら一人で行け。遠くまで行きたいなら一緒に行け」というアフリカのことわざがあって。この感覚って世界中の誰しもがどこかで思っていることですよね。誰かひとりの独裁者、ひとりのカリスマが決めていくことには限界がある。誰かと一緒にと世界中でみんなが本当は気づいていることで…ただ、そのやり方がわからなくて、争う社会になってしまっているのかなと。Cの道は本当に大事だなと思うし、それは「一緒に」を経験してできていくものですよね。仲良しこよしでみんな手をつないで走りましょうとか、1位、2位、3位の表彰台が全部同じ高さの台になっちゃうとかではなく、「私ありき」「あなたありき」でちゃんと自分の足で立って、それで初めて「一緒に」が生まれていくという感じも伝えていきたいですね。

水野みんな正解ばかりを気にするというか。

阿部本当ですよね。

水野考えていくと、みんなもっと自由になるというか、楽に生きられるというか。

阿部そうなんです、楽に。

龍輪(編集) 最初に水野さんがつくってくれたHIROBAのコンセプトシートに書いてありましたよね。考えること自体をもっと自由に楽しむ。正解とか間違いとかではない、白か黒かでもないという。

阿部おお、そうだったんですね、すごい。

龍輪(編集) かなり前から水野さんが考えていたこと…それは、ブレていないなと。

水野そうかもしれないですね。

龍輪(編集) このブレていない核心をどう伝えようかといろいろ考えてやっているけど、結局それを突き詰めて、そぎ落としていくと、シンプルに…。

阿部そうですね。

龍輪(編集) 答えにたどり着くということですね。今までの小田さんとか、いろんな人との対談のなかにもヒントが散りばめられていますよね。

水野そうか、そうかもしれないですね。

龍輪(編集) 最終的には「キングダム」みたいな群像劇になる(笑)。グルっと遠回りして、いろんなものを見て戻ってきたら、「やっぱり自分の信じたことは正しかった」となって、最後は岡田さんが言うように、曲づくりに戻るという。

※参照 岡田宣×有住朋子 【後編】自分のトライを全うしようとしていることが伝わってきて、離れたところから見ているお父さんとしては、グッときた 

水野いやぁ、どうなるんだろうな。

龍輪(編集) 旅の途中で、阿部さんという頼もしい仲間が加わったような感じですね。

水野心強いです。

阿部(笑)うれしいです。

(つづきます)

Text/Go Tatsuwa

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