2020.1.21
TALK

『打って、合わせて、どこまでも』 〜阿部さんと水野くんの永遠会議〜 第8回
必然と偶然とユーモアと

コピーライターの阿部広太郎さんと一緒に企画を考えるこの連載。
阿部さんからいただいた「いっしょにを、広げよう」というコピーをもとに、
実際にどんな企画にしようかと考えるものの…。
果たして企画はまとまるのだろうか。

打って、合わせて。
言葉をラリーする、とりとめもない時間。
とりとめもないから、整理しきれていないことだらけ。矛盾を抱えていることだらけ。いつ始まり、いつ終わるかも判然としない。だけど、何かがみつかる瞬間であったり、何かにたどりつく瞬間であったりを、ドキュメンタリーとして、お伝えすることはできるかもしれません。

HIROBAのリアルタイムドキュメンタリー。ぜひお読みください。

第8回 必然と偶然とユーモアと

場所:それはきっと六本木の会議室

水野僕らが考えて設定を決めていくと、そこに恣意性が必ず出てくるじゃないですか。問いを考えるところはしょうがないから、逆に神に委ねちゃうというパターンでとにかくやりましょう。

阿部さんと水野が問いを考えます。ある種エンタメとしてのクオリティを保つために、ゲストの方にも、問いに対する答えを考えてもらう。会場にいるお客さんに問いかけて、その答えを書いてもらう。それをクジの箱に入れて、その場で引く。それはもう神(=偶然)が決めたことだから決定。だから、これは別に誰の恣意性も入らない。たまたま選ばれた「男性ですか、女性ですか」で「男性です」というのがここで決まると、勝手にこの設定から行く道が決まる。だから僕らがコントロールできない偶然性がそこに挟みこまれていき、これを繰り返していくと、偶然と必然が混濁した、みんなが想像していないCさんが生まれていき…。

阿部偶然はいいですね。偶然のつながり、偶然の積み重ねが実際の人格をつくっている部分は大いにありますからね。

水野必然と偶然が混ざったほうがいいと思う。

阿部面白いですね、まさに心地よいこじつけですね。

水野そうですね。くだらないことのほうがいいと思うんです。くだらないユーモアが、ドライブされていくようなことのほうが、たぶん、みんなが楽しめるので。

阿部確かに、それで想像を働かせる。

水野だから、何か倫理とか、わりとその人の本質にかかわるようなことは、なるべく僕たちがコントロールできるようにしておいて、変な方向にいったり、誰かが傷つく方向にいかないように。

阿部そうですよね。

水野コントロールしつつ、ユーモアで処理できることは偶然に任せていくみたいな。

阿部笑える、笑顔になれることを大切にしつつ。

水野ユーモアで処理できる設定が結局はその人を形づくっていくというのもあるから、最終的にはそこがあぶり出されていくと思うんですね。だから、のび太くんがメガネをかけているか、かけていないかはめっちゃデカいことだと思うんですけど。そういうようなことが、何か…。

龍輪(編集) そのCさんを、みんなはどう受け入れるんでしょう。

水野どうですかね…わからない。想像つかないな。

阿部そこから、何か物語が始まっていくのか。

水野何かひとりの人間をつくるというのは、要はそこから物語が広がっていくという可能性があるんですよね。彼をスピンオフでストーリーにすることもできるし。ひとりの人間というもの自体が素晴らしいエンタメコンテンツだとも言える。

阿部うんうん、まさしく、まさしく。大体、人物が見えてきたら、そこからショートストーリーは書けるし、さらにその人格を愛せるような創作物というのがつくれたらいいかなと。架空の人物像というのをみんなで定めて、そこから創作することによって広げていく。

龍輪(編集) つくってどうします?

水野目的ですよね。目的、最初に決めましょう。だから目的を先に言えばいいんだ。さっき言ったみたいに、誰からも愛される人をつくりたいんです、みたいなこと。みんなで考えていきましょう。

阿部はい、そうですね。

龍輪(編集) 誰からも愛される人とは、どんな人なんだろうということを考える。

阿部そうそう。

水野誰からも愛される。このHIROBAの本質につながるような。

龍輪(編集) 誰からも愛される人はどんな人か、みんなの意見を集約していく。

水野どんな人が必要とされているんでしょうね。

阿部空気を軽くできる人かな。

水野空気を軽く、そうですね。「この人、めっちゃすごいな」みたいな感じに見られる人であってほしくないですよね。

阿部そうなんですよ。

水野のび太くんとかに近いように、何かふっとそこにいる感じにしたい。

阿部みんなのなかにCさんがいると言いたいな。みんなのなかにいるはずなんです、そういう人って。

水野確かに。

阿部そういう誰しもが…。

龍輪(編集) 少なくとも誰かとわかり合いたいと思っている人なんですね。

阿部そうそう、それは間違いないと思います。不器用だとも思うんですね。手をつなぎたいと思っているのに手をつなげない、怖さもあるし。

龍輪(編集) 「拒絶されるんじゃないか」と思ったり、「受け入れられなかったらどうしよう」と思っているのかな。

水野理想を追うって、憧れみたいな、自分はそうなれないみたいな存在になっちゃいがちだけど、どっちかというと、「あいつ、いいやつだね」というくらいのイメージかな。「あいつ、しょうもないけどいいやつだね」みたいな感じ。

阿部ああ、そうですね。そういうイメージです。

水野だめなところもあるけど、「別に悪いやつじゃないんだよね、いいやつだからさ」みたいなぐらいの距離感。

阿部駄目なところもあるんですよね。

水野だいたい、人間そうじゃないですか。

龍輪(編集) 僕は、HIROBAでの対談や水野さん単独のインタビューを通じて、水野さんは水野良樹という人間をずっと探しているというか、根底にあるものを探しているのかなと、ずっと思っているんです。

例えば糸井さんと話したときには、「水野くんは、お兄さんにかまってもらいたいんでしょう」とか言われて、「ああ、そういうところあるかも」みたいな答えを探していっている旅をしているのかなと。そうすると、Cさんってもしかしたら、水野良樹的な人間なのかもしれない。

参照:水野良樹×糸井重里 Part 3 動機は、遊んでもらうことそのもの

水野それは、一面的には正しいでしょうね。だから、僕がこういう人間かもしれないというものを投影できる人にはなってほしいです。でも、それは阿部さんにとってそうだし、それをコンテンツとして楽しむ人たちにとっても、自分という…。

阿部自分だなと思ってもらいたいですよね。

水野合わせ鏡のように。

龍輪(編集) そうすると、そこに自分を投影できる余白が必要になりますね。

阿部面白いですよね。そんなにたくさんの人がいなくてもいいかもしれないですけど、一度イベント的に水野さんと僕とで、その…。

水野それを実験するということですよね。

阿部そうですね。おみくじを引くようにCさんの「らしさ」を編み出してみるというのは、すごく面白い気がします。創作することの面白さ…。最終的なゴールは、そういうCを基にした創作を行っていくというのはある気がします。

龍輪(編集) 僕はちょっと固く考えすぎなのかな…そういう実験的なことで遊んでいいんですかね。Cさんのイラストをその場で描いてみたり。

阿部ですね。最終的にいくつか条件が揃ったところで絵は下手もでいいから、Cさんの似顔絵描いてみようよみたいな。それをみんなで並べてみて、面白いな。

(つづきます)

Text/Go Tatsuwa

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