小さな幼子が、なぜ毎晩、物語を読むことをせがむのか。同じ認知を共有することが、人間が孤独を紛らわすうえで、あるいは自分以外の存在(世界)と自分とを接続させるうえで、とても大事なことなんじゃないか。それは原始的といってもいいくらい、本質的な。今日も誰かが、どこかで、歌を口ずさんでいる。時間も空間もかけ離れたところで。出会ったことのないひとが。たとえば、それが自分がつくった歌であったのなら。自分はそのひとと、ある物語を、ある認知を、共有している。それは死をも超えるし、距離や時間も超えるのだから、すごいことだとも思う。
2022年1月13日